年末に医療通訳の養成コースに通い始めたおかげで、怒濤のように半月が過ぎ、年を越し、あっという間に仕事始めの週を迎えてしまいました。白い雪をかぶった富士山と地元の小さなお社と自宅の恵比寿様・大黒様のコンビに新年の無事と家族の健勝を祈願し、あとは淡々と静かに過ごしていました。
正直言って、土日つづけて早起きして御殿場ー東京間を往復し、朝から夕までみっちり集中しつづけるのは、想像以上に負担が重かったです。家の正月のことは最小限にさせてもらって、体力の回復をはかりました。
医療通訳というのは、基本的には長年やってきた逐語通訳をやればいいのですが、当然、医療のことに無知であっては務まりません。そのために各診療科別に基礎的な知識を学ぶ必要があり、これがまた大変。たとえば「呼吸器の基礎」といっても、たった90分で肺の構造から肺の疾患、肺がんの種類までカバーしようというのですから、授業の密度の濃さは推して知るべし、なのです。テキストに記載されている以外のことのほうが重要かつ実際に即していて、必死にノートを取りました。学生時代にもこんなに必死だったことはなかったと思います。特別プログラムなので無断に録音・録画することは許されず、頼りはノートだけです。
アホな素人なりに頑張ってます、ということなのですが、ひとつだけ、バッチリ頭に刻まれたことがあります。それは「タバコは決して吸ってはならない」という基本事実です。
人は誰でもいずれ死ぬのですが、どうせ死ぬのなら苦しまずに死にたいものです。たとえば、狭い箱に閉じ込められたまま海に沈められたとしたら、どれほど苦しいでしょうか。想像すると恐ろしさに身がすくみます。そんな死に方だけはしたくないと思うのは人情でしょう。
ところが、喫煙者が罹患しやすい肺気腫という病気には、これに等しい苦しみが伴うというのです。講義してくださった呼吸器科の専門医が「死ぬより苦しい」と表現していました。ガンの痛みであれば、今や医療の発達でいくらでも楽にする方法があるのです。しかし、肺気腫の苦しさについては緩和できないというのです。
病床にありながら溺れ死ぬ苦しみを味わうなんて、恐ろしいことこの上ないではありませんか。年が改まったこの機会に、どうかタバコはやめてください。とにかく、やめてみませんか?こんな病気になるリスクがものすごく高まる習慣にお金を使うなんて、バカげてると思いませんか?ちなみに、受動喫煙は煙だけの問題ではなく、喫煙者の呼気を吸っただけでも同様の危険があるそうです。子どもの前だから吸わない、では十分ではないということです。
そんなトリビアな知識だけが頭に残るのでは心もとないのですが、3月半ばまでつづくこの養成コース、何とか無事に通い上げられますように。それももちろん、初詣の祈願に含まれていたことは言うまでもありません。
今年は災害に見舞われることなく、日々穏やかでありますように。
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