10周年

7月16日。10年前のこの日、約40年の東京生活にピリオドを打ちました。ボケボケですが、引越し前夜にマンションから撮った最後の夜景です。30階建てのタワーマンションの25階で、全室大窓付きでした。眺めが命なんだから当然です。ゆったり蛇行する荒川(写真では黒々として見えますが)、そこにかかる橋を渡る埼京線と東北/北陸新幹線。10年間、毎日この夜景を眺めて暮らしていました。飽きない眺めでした。


そして荒川の向こうは戸田公園。毎日みんみんを車に乗せて戸田橋を渡って散歩していました。ここでボート競技といろんな大学のボート部員の皆さんと出会い、東京生活は思わぬ方向に広がり豊かになりました。

ボート競技には本当にハマったなあ。応援するのはとても楽しかったです。




JRの駅のすぐそばなのに、駅前には広い公園があって緑が豊かでした。そういう環境に惚れて頑張ってローン組んで買った住まいでしたが、月に1回ほど実家に帰るたび、老いてどんどん弱っていく両親に「このままではいけないだろうな」という気持ちにさせられました。それに、キャリア的にもちょっと行き詰まった感じがあったことは否めません。メディアのあり方が激変しつつあり、お得意様だった雑誌がバタバタと廃刊になり、翻訳出版は頭打ちになっていきました。生活費のために理化学研究所に勤めていたけれど、辞めたくてたまらなかった。いろんな状況が、もうこの暮らしは続かない、続けないほうが良いと心に訴えて来ました。


だけど、ネガティブな気持ちだけで東京を去ったわけではありません。やっぱり人生の新たな段階にジャンプしたい、新たなページを切り開きたい、そんな抗いがたい動機に突き動かされての大きな決断でした。


これが東京生活最後のマイ・ホーム。駅前に広がる公園は桜の名所だったので、毎日花見でした。東京では何回も引越ししたけれど、最後がここで本当に幸せでした。このマンションは翻訳家として頑張った結果の勲章です。このおかげで、今の一戸建てに暮らす故郷の生活の基盤が得られました。


あの日までの充実した日々にありがとう。そして、あの日から今日まで、充実した10年間にもありがとうです。



玲子のカルペディエム

カルペディエム Carpe Diemは「今を生きよ」という意味のラテン語です。毎年、誕生日に外国のお友だちがこの言葉を贈ってくれて気にいりました。今は富士山の麓でミニチュアダックスのみんみんと暮らしていますが、40年ほど暮らした東京からのいわゆるUターン組です。通訳や翻訳(英語)を生業とし、今は地元のがん専門病院で医療スタッフの英語のお手伝いをしてます。ジャズ、ブラジル音楽、歌舞伎が好きです。

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