ケンケン






もうだいぶ前から、お気に入りの散歩道で野生のキジと出会っていました。
キジは甲高い声で「ケン、ケーン」と必ず2回鳴くので、「あ、今日はあっちだ」と探す場所がわかります。それで、キジを「ケンケン」と名付けました。

「ケンケン、会いに来たよ!」
そんなふうに声をかけています。

たいてい田んぼの脇の土手のようなところにいますが、春のころ、伸び始めた麦畑の中をササッと早足で歩いていたのも見たことがあります。鳴くのは鮮やかな赤いほっぺのオスで、地味な茶色のメスがそばにいることもあります。メスはすぐに草の陰に隠れてしまうのですが、オスのケンケンは土手の高いところにすっくと立っていて、こっちを見たり、キョロキョロしてみたり、羽をバタバタさせたりしています。飛んでいるところを見たことはありません。いつもツツ…と地面を歩いています。
カメラを構えると隠れてしまうので、ケンケンをうまく撮れた試しがありません。2枚目は車のすぐそばを歩いていたので撮ろうとしたときです。みんみんが窓から顔を出したら、ツツ…と遠ざかってしまいました。

いつもケンケンがいる土手で草刈りがあってから、ケンケンは姿を消してしまいました。
だいぶ上のほうの田んぼに移動してしまったと噂で聞きました。それが最近、またいつもの田んぼに戻って来たんです。何だか旧友に会ったように嬉しくて、再び前と同じ場所で見たときには「ケンケン、会いたかったよ!」と叫んでしまいました。

ケンケンが1羽のキジなのかどうかはわかりません。もしかしたら、このあたりには何羽もいるのかもしれません。
でも、いいんです。少し離れたところから、甲高い声で鳴いて土手にすっくと立っているのは、やっぱりわたしのケンケンなんです。
ケンケンにはいつまでも、いつもの散歩道の近くで元気に暮らしていてもらいたいです。


犬とキジか。あとはサルが出て来てくれれば鬼が島に出発できるのですが。



玲子のカルペディエム

カルペディエム Carpe Diemは「今を生きよ」という意味のラテン語です。毎年、誕生日に外国のお友だちがこの言葉を贈ってくれて気にいりました。今は富士山の麓でミニチュアダックスのみんみんと暮らしていますが、40年ほど暮らした東京からのいわゆるUターン組です。通訳や翻訳(英語)を生業とし、今は地元のがん専門病院で医療スタッフの英語のお手伝いをしてます。ジャズ、ブラジル音楽、歌舞伎が好きです。

0コメント

  • 1000 / 1000