心のふるさと、伊賀








今朝のNHK BS「日本縦断こころ旅」の舞台は三重県伊賀市でした。
歩いたことがある道、見たことがある風景がたくさん登場して、懐かしさで胸いっぱいでした。

2011年9月。珍しく長い休みを取った私は、三重県へひとり旅に出ました。愛車「インサイトくん」(永遠に7歳ぐらいの男の子という設定なのです)との初めての遠出でした。主たる目的は伊勢神宮に参拝して大地を鎮めてくださいとお願いすることと、タラソセラピーで有名なホテルに施療の予約を入れたので滞在をゆっくり楽しむこと、そして伊賀へ行くことでした。

伊勢神宮にはすでに5回ぐらい訪れていましたが、伊賀は初めてでした。
なぜ伊賀へ行きたいと思ったのか。それが自分でも謎でした。
松阪からぐっと内陸に入って、結構な距離を走ります。それでも引き寄せられるように「どうしても行ってみたい」と旅の計画段階から強く思っていました。
「大人の散歩」だったかな、ローカル線を特集した雑誌に素晴らしい伊賀鉄道の写真が掲載されていたことを覚えていて、ぜひ乗車してみたかったので、神戸(かんべ)の駐車場に車を預け、伊賀鉄道で伊賀上野まで行きました。

伊賀の町には落ち着いた風情もあったし、想像したとおり昭和レトロな感じの路地もあったし、忍者もいたし(市内にコスチュームを貸してくれるところがあって、観光客の子どもたちの多くが忍者の格好でウロウロしてます)、期待どおり、町歩きを楽しめました。
上野城は黒澤監督が撮影に使ったことがあるとのことでしたが、再建された天守閣は比較的新しいもののようでした。天守閣のてっぺんから市内を眺めると、郊外の国道沿いにはお約束の全国チェーンの量販店がずらっと並んで見えました。関西本線も通っているので、このあたりから大阪方面に通勤している市民も多いというような話でした。

伊賀は松尾芭蕉の出身地としても有名で、一説によると、松尾芭蕉も忍者だったのではないかとのことでした。ただの俳人だったら「奥の細道」の行程はとてもこなせるものではない、絶対に若い頃から特別に鍛錬してきたはずだ、間者(かんじゃ)として密命を帯びていたのではないか、とかなんとか。

帰り道は上野城にもっとも近い途中駅から伊賀鉄道に乗ったように記憶しています。
神戸が近くなるにつれて、田んぼの広がりと瓦屋根の旧家の屋敷が点在する田舎の風景になります。
伊賀の町にもこの田舎の風景にも、なんとも言えない郷愁のようなものを覚えました。
私の体の奥に眠るDNAが反応したというか、そんな不思議な感覚でした。おかしな話ですが、ふと自分の遠い祖先がこのあたりの出身なのではないかと思いました。なんの根拠もないのですが。

伊賀鉄道は1時間に4本ぐらいのダイヤで運行しているそうです。
でも、私が乗った電車は途中で鹿とぶつかったとかいうアクシデントでしばらく停車したので、終点到着は結構遅れました。ローカル線のダイヤってそんなものなのかもしれません。
忍者列車には松本零士さんの絵がいっぱいで車内のデザインにも手裏剣などが散りばめられていて(危険はありません)、なかなかユニーク。
伊賀方面にお出かけの際には、ぜひご乗車をお勧めします。


玲子のカルペディエム

カルペディエム Carpe Diemは「今を生きよ」という意味のラテン語です。毎年、誕生日に外国のお友だちがこの言葉を贈ってくれて気にいりました。今は富士山の麓でミニチュアダックスのみんみんと暮らしていますが、40年ほど暮らした東京からのいわゆるUターン組です。通訳や翻訳(英語)を生業とし、今は地元のがん専門病院で医療スタッフの英語のお手伝いをしてます。ジャズ、ブラジル音楽、歌舞伎が好きです。

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