ごはん








うちの庭の隅に自生するフキを、昨年からみんみんを散歩させている郊外の集落で知り合った湯山さんと武藤さんのおばちゃんふたりに来てもらって、好きなだけ収穫してもらっています。
お米の10キロ袋4つ分に溢れるほどのフキが採れて喜んでくださるし、丁寧にアク抜きされて佃煮にしたものを分けてもらうこともあるし、わたしにとっても良いことづくめ。

湯山さんと武藤さんは、そんなとき、お土産に自分たちの田んぼで作ったお米をくださいます。
おふたりでそれぞれ5キロずつぐらい。田んぼの眺めには毎日散歩して癒されていますが、そんな美しいところで育ったお米のせいか、スーパーで買うお米にはない特別な美味しさです。
ふっくら炊けて、もちもちで、味わいが深くて、冷めても美味しさが変わらないんです。

農協から苗が届くと、農家さんたちは田植えの日までビニールハウスで大切に育てます。
日差しが強い日には窓を開け、日が暮れて温度が下がり始める前に閉める。風が通って蒸れないように、害虫が入らないように、水が足りないことがないよう多すぎないよう、つねに気を配る。
で、田植えが済んでも、毎日、朝夕2回は必ず田んぼを見回って、水の状態を確認する。
雑草が目立ち始めたら腰をかがめて手作業で抜く。病気がついていないか、虫が発生していないか、朝夕の見回りのときに細かく目を配る。
風が吹けば田んぼ、大雨が降っても田んぼ。心配なのはいつだって田んぼ。
そうして夏を迎えて稲の花が咲き、秋になってようやく収穫を迎える。

湯山さんや武藤さんが日々そうやって稲を大切に育てる様子を目の当たりにして、今こうして湯気を立てる美味しいごはんを手にするとき、深い感謝の気持ちを抱かずにいられません。

そういや、子どもの頃、祖母や育ててくれたおばさん(実は5歳ぐらいまで昼間は近所に預けられていました)から「ごはんを一粒でも残したら目がつぶれるよ」と厳しく言われていました。そもそも、祖母の代には、うちも田んぼで実際に米を育てる農家でしたし。

日本人はやっぱり「ごはん」です。
どんなごちそうも、美味しく炊けた「ごはん」にはかなわないのです。
お米を作ってくださる農家さんのご苦労を思い、感謝して大事にいただかないといけません。
お茶碗に米粒を残すなんて食べかたしたら、バチが当たるのですよ。



玲子のカルペディエム

カルペディエム Carpe Diemは「今を生きよ」という意味のラテン語です。毎年、誕生日に外国のお友だちがこの言葉を贈ってくれて気にいりました。今は富士山の麓でミニチュアダックスのみんみんと暮らしていますが、40年ほど暮らした東京からのいわゆるUターン組です。通訳や翻訳(英語)を生業とし、今は地元のがん専門病院で医療スタッフの英語のお手伝いをしてます。ジャズ、ブラジル音楽、歌舞伎が好きです。

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