新旧並んで、記念写真
青山の街角が似合ってました
新車のにおいをクンクン
3月に車を新しくしました。
旧型インサイトに代わりまして、新型インサイトです。
この旧型はホンダのインサイトという車としては二代目で、とりわけ後部のデザインが斬新だった初代に比べられて、プリウスの真似っことか、何かと批判が多かった車です。
だけど、私はこの車が大好きでした。
何というか、質の良いスニーカーみたいな感じ。
スポーツモードで走ることは滅多にしなかったけれど、そうしてみるとキビキビと小気味良い走りっぷりで、ははん、これがいわゆるホンダのDNAなのだなと納得したものです。
てなこと、車好きの人たちは馬鹿にするかもしれないけどさ。
別れるとき、すごく辛かったです。
「インサイトくん」と愛称で呼んでました。「7歳ぐらいの少年」という設定でした。
インサイトくん、あなたはもうすぐ、わたしとしてきた11万キロの旅の記憶を全部消去されちゃうんだね。
ハードディスクに貯めてくれたわたしのお気に入りの曲も全部、消されてしまうんだね。
わたしとの記憶はすべて忘れ去って、新たなご主人と一緒に走り出すんだね。
それは子どもの頃に見た、「鉄腕アトム」に描かれていた未来のロボット社会の姿にそっくりな現象でした。
「鉄腕アトム」のエピソードに、人型ロボットが買い替えられるとき、それまでのご主人にまつわるデータをすべてリセットされ、別のご主人のもとへ売られていくというのがありました。
ある少年が自分を育ててくれた人型ロボットが売られることをひどく悲しみ、親に内緒で阻止しようとするのですが、ロボットは少年にこんなようなことを言ってたしなめます。
「ぼっちゃん、わたしのことは忘れてください。これでいいんです。あなたのところには、新型のもっと優れたロボットが来ることになってます。そのロボットといっぱい、楽しい思い出を作ればいいんです」
少年がわあわあ泣く。ロボットはそっと優しく少年を抱きしめる。夕焼けにふたりのシルエットが浮かぶ。
そんな話でした。
あれと同じだ。そう思いました。「インサイトくん」はわたしと別れるとき、「奥さん、おいらのことは忘れて、新しい後輩のやつとまた楽しく旅してくださいよ」と言ったとか、言わなかったとか。
いつのまにか、車はコンピュータを搭載して多彩な機能を持たされるようになっています。ちょっとしたロボットなのです。手塚治虫さんが何十年も昔の昭和の時代に描いた「未来社会」は、じわじわと平成の日本の現実となっていたのでした。令和になったら、さらにそうなっていくものと思われます。
で、新しい「インサイトくん」はそりゃあもうゴキゲンな車です。
キビキビとはちょっと違うかな。いや、スポーツモードで走ってないから何とも言えんかな。
スニーカーというより、ビルケンシュトックの編み上げの靴みたいな感じ。
落ち着いた大人の彼との旅も、これから楽しいことになりそうです。
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