そんなに急かさないで


フィレンツェの中央市場で



何もかも新鮮そう、美味しそう



ボローニャでランチしたパスタ屋さん



たぶん、20代の頃だったら気づかなかったことだと思いますが、この歳で旅したからこそイタリアで(というかパリでも、さらにエールフランスの機内でも)心地よく感じたこと。

それは買い物やレストランでの支払いのとき、店側と客との間に流れる時間がゆったりしている感覚。
(例外的にコンビニみたいな小規模スーパーで現金で支払うときだけ、日本と同じように急かされる感じがありましたが。)
日本人はセカセカしてます。理由もなく、次へ次へと駆り立てられるように行動する人、あるいはそういう場面をよく目にします。自分自身もそうだと反省します。
誰でも経験があるのではないでしょうか。お店で(特にスーパーマーケットのレジで)現金で支払うとき、すごく急かされてる感じがすること。

「ポイントカードはお持ちですか?」
はいはい、ありますよ。今、出そうとしてるでしょう?ちょっと待って。ええと、端数は235円か。
小銭入れを開く。五円玉でしょ。十円玉が3つでしょ。百円玉が・・・あら、ひとつしかない。
この時点でレジ係のお姉さんからイライラの波動が伝わってきて、も〜いいや、万札出しちゃえってことになる。
さらに、そのお釣りをお財布にしまい切らないうちに、「ありがとうございました!いらっしゃいませ〜ポイントカードはお持ちですか?」と、次の客のバスケットがグイッとせり出し、こちらはあわててお釣りを握りしめたまま、重いバスケットいっぱいの買い物荷物や財布やマイバッグなどを抱えて台のほうへ退散する。

あれね、良くないと思います。レジにたくさんお客さんが並んでたら仕方ないかもしれない。
でも、そうでなくてもこうなんだもん。
フィレンツェの中央市場でちょっと買い物しました。ヴェローナのホテル近くの八百屋さんでも果物買ったりしました。いろんな買い物したけれど、小銭を数えているあいだにイライラ波動が押し寄せたことは一度もありませんでした。
ヴェローナの八百屋さんでは、別のお客さんが後ろに立っているのがわかったので、お釣りをお財布にしまう前にちょっと右へ移動したんです。日本のお店の感覚で。

「ノー、ノー、セニョーラ、リラックス!」

片言の英語で八百屋さんのおかみさんからそう言われたのでした。お財布にお金をしまうジェスチャー付きで。
そうですよね。お金出して、お釣りもらって、お財布にしまう。たかがそれくらい、ゆっくり確実にやらせて欲しい。
できたら「今日のレタスは新鮮で良いよね」とか「リンゴ安かった!」「でしょう?こういう日にいっぱい買ってって」とか、言葉を交わしてにこにこして帰りたい。

帰国して地元のスーパーに行ったとたん、思いましたもん。
「ポイントカードは・・・」ちょっと待って。そんなに急かさなくたっていいじゃない?


玲子のカルペディエム

カルペディエム Carpe Diemは「今を生きよ」という意味のラテン語です。毎年、誕生日に外国のお友だちがこの言葉を贈ってくれて気にいりました。今は富士山の麓でミニチュアダックスのみんみんと暮らしていますが、40年ほど暮らした東京からのいわゆるUターン組です。通訳や翻訳(英語)を生業とし、今は地元のがん専門病院で医療スタッフの英語のお手伝いをしてます。ジャズ、ブラジル音楽、歌舞伎が好きです。

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