ソフィーはどうしてるだろうか

今年はいろんな意味でソフィー・ミルマンのことを思い出さずにはいられない年です。


ソフィーはカナダのジャズ・シンガーです。2009年に彼女の通訳を務めました。何回か彼女と仕事をしたと思うのですが、このときの来日がいちばん長かったんです。いつものように一緒に日に何本もの取材をこなし、いろんなイベントに同行しました。写真はカナダ大使館でコンサートやったときのスナップショット。リハーサル前は入念に喉を温め、リラックスした時間を過ごすのがソフィーのルーティンでした。

ソフィーはロシアで生まれたユダヤ人です。たしか7歳のころに一家でイスラエルに引っ越しました。ユダヤ人はロシアでは生きにくく、将来のことを考えて両親は大きな決断をしたのです。ところがイスラエルもまた平和がつづく国家とは言えず、一家はカナダへの移住を決めました。ロシアでは大学で教えていた彼女のお父さんは英語があまり上手ではなかったために、国を出てからクリーニング屋で働いていたそうです。ソフィーはそんな子ども時代を過ごしたせいで早くから大人びて、英語が達者になったのでご両親を助けていたそうです。


下の写真はラジオの生放送に出演したときのソフィー。どんな番組だったかは忘れましたが、スタジオの風景からして東京のJ-Waveと思われます。

1年以上経っても継続されるロシアのウクライナ侵攻、ハマスを根絶やしにせんとして攻撃をつづけるイスラエル。ソフィーがどんなに心を痛めているか、想像すると胸が苦しくなります。特にロシアを忌み嫌っていました。日本では冬はシベリアからの吹き付ける季節風で日本海側は大雪になるという説明をしたとき、思いがけず「ああ、ロシアって日本にもそんなふうに迷惑をかけてる国なんだね!」という彼女の反応に驚いたことは鮮明に覚えています。子ども時代さえ無邪気に過ごせず、苦労する両親をそばで支えなくてはならなかったロシア時代の思い出はずっと暗く心に澱んでいるようでした。


あれから何年も経ちましたが、平和が破られた今、ソフィーが語ってくれたユダヤ人としての人生の重さを改めて考えずにはいられません。


玲子のカルペディエム

カルペディエム Carpe Diemは「今を生きよ」という意味のラテン語です。毎年、誕生日に外国のお友だちがこの言葉を贈ってくれて気にいりました。今は富士山の麓でミニチュアダックスのみんみんと暮らしていますが、40年ほど暮らした東京からのいわゆるUターン組です。通訳や翻訳(英語)を生業とし、今は地元のがん専門病院で医療スタッフの英語のお手伝いをしてます。ジャズ、ブラジル音楽、歌舞伎が好きです。

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