昔、エリザベス2世が来日したとき、同行していた近いところで仕える人が「女王はどんな方ですか?」という質問にこう答えていました。
「女王はどんなことがあろうと決してぬかるみのようにはなりません」
ぬかるみだったか、あるいは泥々にならないだったか、泥のようにならないだったか、記憶は定かではないのですが、要するに、ドロドロしたぬかるみみたいに「力なく弱々しく、だらしなく見苦しい状態にはならない」ということだと理解しました。すごく印象的でした。
女王にとっての「どんなことがあろうと」には、常人が経験するスケールをはるかに超えた、ありとあらゆる苦難、艱難辛苦、孤独、喪失感、敗北感その他もろもろのネガティヴなことが含まれていたでしょう。だけど、力なくドロドロっと汚いぬかるみのような状態には陥らず、毅然として、平然と笑顔さえ浮かべておられる。そういうお方と想像できました。
昨日アップした「事故」っていう記事を自分で読み直して思うところがありました。
いやだ、こんなの。やられました、悲しいです、残念です、で終わってるじゃないか。
少しも前向きじゃない。「人生、何ひとつ無駄なことはない」という人がいますが、そうかもと思うことがあります。そうだとしたら、今回の事故でさえ、それを利用してワンステップ上に行くのだ。
エリザベス2世のような偉大な方には遠く及ばない凡人だけど、努力することぐらいできる。アタシだってぬかるみ、泥々、そういう人間の姿になり果てるのはイヤだ。
そういうわけで、今日は仕事を休んで整形外科へ行きます。ムチウチ症だってことを証明してもらって追突事故の被害者としてハクをつけてやる。車は入院して生き返って戻ってくればよろしい。形あるものはいつか傷つき、壊れる。命あるものはいつか持ち時間が尽き、天へ召される。壊れたら直せばいい。あるいは交換すればいい。命あるものが天へ召されたら、生前に縁があったことに深く感謝し、お疲れさまってねぎらう。いつまでも悲嘆にくれず前を向く。
自分の持ち時間にも限りがあるんですから、ぬかるみみたいに嘆いて暮らしているのはもったいないのです。
写真はどちらも庭の梅です。今朝撮りました。
いいでしょう?紅梅も白梅もマイ梅花ですよ。こんなに美しい春の日を、ぬかるみみたいになって無駄にするもんか。
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